「果てしなく広がる大草原」「満天の星空」「遊牧民体験」。
ドラマ『VIVANT』の影響もあり、今、モンゴル旅行への注目度が急上昇しています。
これまでの「秘境」というイメージから、女子旅や学生旅行の新たな選択肢として人気を集めています。
しかし、そこで真っ先に気になるのが「モンゴルの治安」ではないでしょうか?
「女性一人でも大丈夫?」「夜は歩けるの?」「タクシーは安全?」
結論から言うと、モンゴルは基本的な対策さえしていれば、女性でも問題なく安全な国です。
しかし、日本とは全く異なる「モンゴル特有のリスク」が存在するのも事実です。
この記事では、現地の生々しい情報も交えながら、モンゴルのリアルな治安事情と、女性が旅行で絶対に気をつけるべき5つのポイントを、徹底的に深掘りして解説します。
モンゴルの治安:基本情報とエリア別の特徴

まず、モンゴル全体の治安レベルを把握しましょう。
外務省の海外安全ホームページでは、モンゴル全土は基本的に「レベル1(十分注意してください)」またはそれ以下で推移しており、テロや紛争のリスクは極めて低いです。
しかし、旅行者が遭遇するトラブルの9割は、首都ウランバートルで発生しています。
1. 首都ウランバートル:都会特有の犯罪に注意
モンゴルの人口の約半数が集中するウランバートル。急速な経済発展の裏で、貧富の差が拡大しています。
ここでは「スリ・置き引き」と「酔っ払い」が二大リスクです。
特に観光客が集まるスフバートル広場周辺、ノミンデパート(国営デパート)、ナラントゥール市場(ザハ)は、スリ集団が活動するホットスポットです。
2. 草原・地方エリア:犯罪よりも「自然」がリスク
一歩街を出れば、そこは犯罪とは無縁の大自然です。ゲルに宿泊するツアーなどでは、盗難のリスクはグッと下がります。
しかし、地方では「遭難」「落馬事故」「急な天候変化」が命に関わるリスクとなります。
また、夜間のトイレ移動などで野犬に遭遇する可能性もあるため、都会とは違った警戒心が必要です。
女性が気をつけるべき5つのこと:詳細解説

それでは、具体的に何に気をつけるべきか。女性旅行者が直面しやすいリスクに絞って、5つの重要ポイントを解説します。
【その1】巧妙化する「スリ・置き引き」対策|バッグは前が鉄則!
モンゴル旅行で最も遭う確率が高いトラブル、それがスリです。「私は大丈夫」と思っている人ほど狙われます。モンゴルのスリは単独犯ではなく、集団で連携プレーを行うのが特徴です。
〈狙われやすい場所3選〉
- バスの中・バス停: 混雑に乗じて体を押し付け、バッグを開けられます。
- ナラントゥール市場(ザハ): 「スリの名所」と呼ばれるほど多発地帯。
日本人観光客は格好のターゲットです。
ザハでの邦人被害は2025年8月だけで8件も確認されています。(外務省)
他の観光名所よりも、いっそう気を付けましょう。 - 横断歩道・信号待ち: 信号が変わる瞬間の不意をつかれます。
〈具体的な手口と対策〉
- ナイフ切り裂き型:リュックやショルダーバッグの底や側面を鋭利なカッターで切り裂き、中身を抜き取る手口です。気づいた時には財布がない、というケースが後を絶ちません。
- 対策: 人混みではリュックを必ず前に抱えること。防刃素材のバッグを使うのも有効です。
- チームプレー型:一人がわざと足を踏んだり、話しかけたりして注意を逸らし、その隙に別の仲間が財布を抜き取ります。
- 対策: 見知らぬ人に話しかけられたら、まずは警戒してください。バッグのファスナーは簡単に開かないようにしましょう。
- スマホのひったくり:歩きスマホは厳禁です。路上で地図を見ている隙に、後ろから走ってきた若者にスマホを奪われる事件が発生しています。
- 対策: スマホを見る時は、建物の壁際に立ち、両手でしっかり持つか、カフェやショップの中に入って確認しましょう。
【その2】移動手段の落とし穴|「白タク」は絶対に乗らない
モンゴルでは、一般車がタクシー代わりにお客を乗せる「白タク」文化が根付いています。道端で手を挙げればすぐに一般車が止まってくれますが、女性旅行者、特に一人旅の場合は絶対に乗ってはいけません。
〈白タクのリスク〉
- 法外な料金請求: 降りる際になって、相場の10倍以上の金額を請求されるトラブルが多発しています。
- 連れ去り・暴行: 密室に見知らぬ男性と二人きりになる状況は、言葉の通じない海外ではリスクが高すぎます。目的地とは違う場所に連れて行かれる事件もゼロではありません。
空港の到着ロビーで「タクシー?タクシー?」と声をかけてくる客引きは、必ず無視してください。
〈安全な移動手段:配車アプリ「UBCab」〉
現在のウランバートル観光で便利なアプリなのが、配車アプリ「UBCab(ユービーキャブ)」です。
- メリット1: Uberのように行き先をアプリで指定できる。
- メリット2: 料金が事前に確定、またはメーター制で明朗会計。
- メリット3: ドライバーの情報が記録されるため、犯罪の抑止力になります。
日本にいる間にアプリをインストールし、SMS認証を済ませておくことを強くおすすめします。
少しの手間で、安全をお金で買うことができます。
ただし、登録時にモンゴルの電話番号が要求される場合があるので、その場合は別の移動手段を検討しましょう。
【その3】夜のウランバートルは「酔っ払い」の巣窟
モンゴルはお酒(特にウォッカ)が大好きな国です。
陽気にお酒を楽しむ文化がある一方で、アルコールによるトラブルも非常に多いのが現実です。
特に金曜や土曜の夜は警戒レベルを上げてください。
〈路上でのリスク〉
夜22時を過ぎると、メインストリートであっても千鳥足の男性が増えます。絡まれると、言葉が通じない上に理性が飛んでいるため、非常に厄介です。
- 対策: 女性だけで夜遅くに出歩くのは避けましょう。夕食は早めに済ませるか、ホテル内のレストランを利用するのが賢明です。どうしても夜間の移動が必要な場合は、ドアツードアでタクシー(UBCab)を利用し、徒歩移動を極力減らしてください。
〈バーやクラブでのリスク〉
現地の若者と交流したいとバーに行く場合も注意が必要です。
親しげに「一緒に飲もう」と強い度数のウォッカを一気飲み(一気飲み文化があります)させようとしてくることがあります。
- 対策: 自分の限界を超えて飲まないこと。席を立つ際は、飲みかけのグラスから目を離さない(薬物混入のリスク回避)という、海外旅行の鉄則を守ってください。
【その4】「優しさ」の文化のちがい|対人トラブル回避術
モンゴルの男性は、遊牧文化の影響もあり、女性や子供を守る「騎士道精神」のようなものを持っています。重い荷物をサッと持ってくれたり、ドアを開けてくれたりと、非常に紳士的です。
しかし、文化の違いからくる「勘違い」によるトラブルも少なくありません。
日本人女性が陥りやすい「曖昧な笑顔」
日本人の感覚で、断る際に申し訳なさそうに「笑顔」を見せると、モンゴルの男性には「まんざらでもない(Yesに近いNo)」と受け取られることがあります。
しつこいナンパや、望まない誘いを受けた時は、真顔で、はっきりと「No」と言う強さを持ってください。
「あやふやな態度は相手に期待を持たせるだけで、逆に失礼になる」くらいの心構えが必要です。
〈「日本語が話せる人」への過度な信頼 〉
観光地では、日本語で話しかけてくる現地の方が多くいます。多くは親日家で親切な人たちですが、中には「ガイドをしてやる」「安い店を教える」と言って人気のない場所に連れ込んだり、高額なお土産屋に誘導する詐欺師も混じっています。
全員「日本語が通じる=安全な人」という方程式は捨ててください。
特に「家で馬乳酒をご馳走するよ」といった誘いは、ゲル地区の奥地に連れて行かれるリスクがあるため、初対面では丁重にお断りするのが無難です。
【その5】大自然の落とし穴|「犬」と「トイレ」と「乾燥」

治安(犯罪)とは少し異なりますが、モンゴルの環境そのものが旅行者にとっての少しリスクになる場合があります。
〈野犬には絶対に近づかない・走らない〉
モンゴルには街中にも郊外にも、多くの野犬がいます。昼間は寝ていておとなしいことが多いですが、夜になると活発化し、集団で行動します。
- 狂犬病のリスク: 万が一噛まれた場合、100%死に至ります。可愛いからといって絶対に撫でようとしないでください。
※モンゴル滞在中ツーリストキャンプなどで犬に噛まれて負傷し、狂犬病のワクチン接種が必要となるケースが複数発生しています。
外務省からも注意喚起されていますので渡航前にチェックしておきましょう。
☑外務省 海外安全ホームページ|モンゴル滞在中のスリ被害の連続発生と狂犬病に関する注意喚起 - 対処法: 犬と遭遇しても、絶対に背中を見せて走って逃げてはいけません。 走ると「獲物」と認識され、追いかけられます。石を拾うふりをする(地面にかがむ動作をする)と、犬は「石を投げられる」と思って逃げていきます。
〈「青空トイレ」の覚悟と準備 〉
草原ツアーに出ると、水洗トイレは期待できません。何もない大草原で用を足す「青空トイレ」が当たり前になります。
- 女性の必需品
- ロングスカートやポンチョ: 目隠しになります。
- トイレットペーパー・芯なしロール: 備え付けはありません。
- ウェットティッシュ・除菌ジェル: 手洗い場もないことが多いです。
- 晴雨兼用の折りたたみ傘: 遮蔽物がない場所での目隠しとして最強のアイテムです。
③ 想像を絶する「乾燥」と「寒暖差」
モンゴルの空気は極度に乾燥しています。肌荒れや喉の痛みは、旅の充実度を著しく下げます。
- 対策: 高保湿のクリーム、リップクリーム、のど飴、マスクは必須。
- 寒暖差: 夏でも夜は10度以下になることがあります。薄手のダウンジャケットやウインドブレーカーなど、重ね着で体温調節できる服装を必ず用意してください。低体温症は立派なリスクです。
☟服装についての詳細はこちらの記事が参考になります。
自分の身を守るための事前準備
ここまでリスクを並べましたが、これらに対処するために、日本から必ず持っていくべき・準備すべきことを紹介します。
1. eSIMまたはポケットWi-Fi
「常にネットに繋がっていること」が最大の防犯です。
道に迷った時、翻訳アプリを使いたい時、UBCabを呼びたい時。ネットがないと詰みます。
現地の空港でSimカードを買うこともできますが、到着直後のバタバタを避けるため、日本でAmazonなどで事前に購入しておくか、ahamoや楽天モバイルのような海外ローミング対応のキャリアを用意しておくのがベストです。
※モンゴルではポケットWi-Fiレンタルを推奨しています。
☟詳細はこちらの記事でご覧になれます。
2. 海外旅行保険
モンゴルの医療事情は日本ほど整っていません。万が一の大怪我や病気の際、設備の整った私立病院への搬送や、最悪の場合は医療用ジェットでの日本への搬送が必要になることもあります。
海外旅行保険が付帯されているクレジットカードを持参するか、必ず「治療・救援費用」が無制限、あるいは高額補償される保険に入ってください。
緊急時の連絡先リスト(スクショ保存推奨)
いざという時のために、以下の番号と情報をスマホのメモ帳やスクリーンショットに残しておきましょう。
- 警察: 102
- 救急車: 103
- 在モンゴル日本国大使館:
- 電話:(+976-11-)320777
- 住所:Elchingiin gudamj 10, Ulaanbaatar 14210(シャングリラホテルの近くです)
- ※パスポートを紛失した際などに駆け込む場所です。
まとめ:事前準備をして最高のモンゴル旅を

長くなりましたが、モンゴルの治安についてお伝えしたいことは以下の通りです。
- スリはプロ集団。 リュックは前、スマホはしまえ。
- 白タクは絶対NG。 「UBCab」アプリを使え。
- 夜の一人歩きは避ける。 酔っ払いは相手にするな。
- Noはハッキリ言う。 曖昧な笑顔はできるだけ避ける。
- 犬・トイレ・乾燥対策は、もはやサバイバル術として準備せよ。
脅すようなことばかり書きましたが、これらは「知っていれば防げるトラブル」ばかりです。
モンゴルは、地平線まで続く大草原、満天の星、遊牧民の温かいおもてなしなど、他の国では絶対に味わえない感動が待っている国です。
「何とかなるだろう」という油断を捨て、「自分の身は自分で守る」という意識さえ持てば、女性一人旅が充実するでしょう。
しっかりと準備をして、一生の思い出に残るモンゴルの旅を楽しんできてください!






